転職の前に、人事に相談してみた話。

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仕事がつらい。でも転職は怖い。辞めるのはもったいない気もする。

そういうとき、頭に浮かぶ選択肢は「転職か我慢か」の二択になりやすい。でも、その間にもう一つ選択肢がある。

社内で解決する、という選択肢だ。

考えるカエル

考えるカエル

私はかつて、上長に「もう限界かもしれない」と正直に話した。すると面談を設けてもらい、別部署への異動を打診された。「退職してしまうくらいなら全然そっちの方がいい」と言われた。結局私は転職してしまったが、残っていたらまた違う未来があったかもしれない。

転職の前に、一度立ち止まって考えてほしいこと

「辞めることは、いつでもできる」

ある日、労働相談コーナーに相談に行ったとき、相談員の方にこう言われた。

「辞めることは、いつでもできますよ」

最初は「そんな当たり前のことを」と思った。でもよく考えると、この言葉の意味は逆だ。

辞めることがいつでもできるなら、今すぐ辞めなくていい。今できる、もっといい選択肢があるかもしれない。

転職や退職は、最後の手段として取っておける。その前にできることが、まだあるかもしれない。

「会社が嫌」なのか「今の部署が嫌」なのか

仕事がつらいとき、それが「会社自体への不満」なのか「今の部署・上司・業務内容への不満」なのかを、一度切り分けて考えてほしい。

もし今の部署や上司が原因で、会社そのものが嫌いなわけではないなら、異動によって解決する可能性がある。

同じ会社でも部署が変わるだけで、仕事が180度変わることは珍しくない。

異動希望が「希望通りになる」のは3割という現実

正直に伝えておきたいことがある。

リクルートワークス研究所の「ワーキングパーソン調査」によると、異動が「希望に基づいている」との回答はわずか約3割だった。つまり、希望を出しても通らないことの方が多い。

それでも、試みる価値はある。試みなければ、その3割にすら入れない。そして、試みた事実が次の交渉の土台になる。

社内異動という選択肢を、もっと使っていい

異動は「逃げ」じゃない

「異動を希望するなんて、逃げじゃないか」と思う人がいる。

違う。異動希望は、会社の制度として存在する正当な権利だ。わがままでも甘えでもない。

むしろ、合わない環境で消耗し続けることの方が、会社にとっても本人にとっても損失だ。適切な部署に移ることで、パフォーマンスが上がり、社員の定着率も改善される。異動を認めることは、会社にとってもメリットがある。

異動が成功すれば、会社にとってもあなたにとってもいい

社内異動が実現した場合、転職と大きく異なる点がいくつかある。

社会保険・有給・退職金の継続、社内人脈の維持、仕事を覚え直すコストが転職より低い、失業リスクがない。これらは転職にはない大きなメリットだ。

会社側からすれば、採用・育成コストをかけずに既存の人材を活かせる。退職してしまうくらいなら異動させた方が得だ、と考える会社は多い。

人事側から見た「異動が通りやすい人」の条件

ここを知っておくと、動き方が変わる。

ネガティブな理由だけでは通りにくい

人事のプロに聞くと、異動を希望する人には2つのパターンがあるという。

一つは、キャリアに問題意識があり、自分なりに考えて積極的に動こうとしている人。もう一つは「今の仕事が合わない」「上司と合わない」などのネガティブな理由で動く人だ。

後者の場合、「異動が必ずしも問題解決にならない」と判断されやすく、希望が通りにくい傾向がある。

つまり、「今の部署が嫌だから出たい」という伝え方ではなく、「次の部署でこういう貢献がしたい」という前向きな文脈で伝えることが、通過率に直結する。

会社側の事情と自分の希望を合わせる

人事異動は、会社の事業計画に基づいて決まる。自分の希望だけを主張しても動かない。

「あの部署は今どういう状況か」「自分のスキルで何を解決できるか」という視点を加えると、受け取られ方が変わる。会社のニーズと自分の希望が重なる部分を見つけることが、異動成功の鍵になる。

日ごろからの信頼関係が土台になる

異動希望は、上司や人事に「この人を応援したい」と思ってもらえてこそ通りやすくなる。普段からの仕事の姿勢や、上司とのコミュニケーションが土台になる。

逆に言えば、今の部署でまったく成果を出していない状態で異動を希望しても、「どこへ行っても同じでは」と判断されやすい。

考えるカエル

考えるカエル

私が上長に話したとき、言い訳も愚痴もなく、ただ正直に「このまま続けることが難しい」と伝えた。想像以上に真剣に受け止めてもらえた。正直さは、やっぱり最強だと思う。

具体的な進め方:誰に・何を・どう伝えるか

まず「誰に相談するか」を決める

基本的には直属の上司への相談が第一歩だ。ただし、上司そのものが問題の原因である場合は、上司を飛ばして人事部に直接相談するルートを選ぶ。

人事に相談することは、上司への裏切りではない。人事部はそういった相談を受ける役割を担っている。

「いつ」相談するか

タイミングは重要だ。以下は避けた方がいい。

繁忙期・決算期・大きなプロジェクトの最中、上司が明らかに忙しいとき、感情的になっているとき。

逆に、定期的な1on1面談や個人面談のタイミングは話を切り出しやすい。異動希望は、希望時期の1か月以上前に伝えるのが理想だ。

「何を・どう伝えるか」── 実際の伝え方

ここが最も大事だ。伝え方一つで、受け取られ方が大きく変わる。

やってはいけない伝え方
「今の部署が嫌です」「〇〇さんと合わない」というネガティブな訴えだけで終わる伝え方。上司や人事からすると「問題社員」という印象になりやすい。

効果的な切り出し方
「キャリアについて相談させていただきたいのですが、お時間をいただけますか」と入る。そのうえで、

「現在の業務を続ける中で、〇〇の部署の仕事に強く興味を持っています。自分のスキルをより活かせると感じており、可能であれば異動を検討していただけないでしょうか」

ポイントは3つだ。ポジティブな理由で伝える、自分のスキルと異動先のニーズを結びつける、具体的な希望を持つ。

どうしても人間関係が原因の場合も、個人への批判は避け「チームのやり方と自分のスタイルが合わず、パフォーマンスを発揮しきれていない」という伝え方の方が受け取られやすい。

社内の異動制度を事前に確認する

会社によっては、以下のような制度がある場合がある。知らないまま使っていない人が多い。

自己申告制度:定期的に希望部署を申告できる制度。まず人事部に「こういった制度はありますか」と確認してみるだけでいい。

社内公募制度:部署が社内で人材を公募する制度。通常の異動希望より採用されやすい場合もある。選考方法は転職活動に近く、自分でアピールできる。

社内FA制度:実績のある社員が自ら希望部署に売り込める制度。比較的大きな企業に存在することが多い。

断られた場合の対処法

異動希望が通らないことはある。でも、そこで終わりではない。

なぜ断られたのかを確認する

「今は難しい」という場合、タイミングの問題なのか、根本的に難しいのかで対応が変わる。

「いつ頃なら可能性がありますか」「どういう条件が揃えば検討してもらえますか」と具体的に聞く。次のアクションが見えてくる。

今の部署で実績を積んで再挑戦する

人事のプロが言うように、現部署での成果が異動希望の説得力に直結する。「今の部署でこれをやり遂げたので、次は〇〇部署で貢献したい」という流れが最も通りやすい。

断られたことを、次のための準備期間だと捉え直すことができる。

外部の相談窓口を使う

社内での解決が難しい場合、外部の無料相談窓口を使うという手がある。

総合労働相談コーナー(都道府県労働局・労働基準監督署)
職場のあらゆる問題について、無料・匿名で相談できる。「社内異動について相談したい」という内容でも受け付けている。全国に設置されており、予約なしで相談できる窓口も多い。

相談員の方の言葉が、今でも印象に残っている。「辞めることは、いつでもできますよ」と。

考えるカエル

考えるカエル

「辞めることはいつでもできる」という言葉は、辞めろという意味じゃない。今すぐ辞めなくていい、という意味だ。その言葉に、少し救われた。

それでも社内で解決できないなら

社内で手を尽くした後なら、次の選択肢へ

社内で解決できるに越したことはない。でも、それが本当に無理なら、次の選択肢を考えればいい。

有給を使い切る、休職を検討する、転職活動を始める。その選択肢は、社内での手を尽くした後でも遅くない。

むしろ、社内で動いた経験があることで、転職活動の軸もはっきりしてくる。「ここは試した、でも変わらなかった」という事実が、次の判断を確かにする。

できることなら、社内で解決できるに越したことはない

転職にはコストがかかる。時間、精神力、収入の一時的な空白。新しい職場に馴染むエネルギー。

社内異動なら、そのコストのほとんどが不要だ。うまくいけば、今の会社に居ながら、環境を大きく変えられる。

残っていたらまた違う未来があったかもしれない、と私は今でも思う。

まとめ|転職の前に、一つだけ試してほしい選択肢

仕事がつらいとき、選択肢は「転職か我慢か」の二択じゃない。

社内異動という選択肢がある。社内の制度がある。外部の労働相談窓口がある。

まず一歩。上長か人事に「相談したいことがある」と伝えることから始めてみてほしい。

辞めることは、いつでもできる。だから今日は、辞める前にできることをやってみよう。

今すぐ誰かに話を聞いてほしい場合は、相談窓口も見てみてください。一人で抱え込まなくていい。


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